エピソード

『最期の時間』

ご入居された頃は、要支援1、ほぼ自立だったD様。お一人でいらっしゃるのが好きで、過度な接触を好まない方でしたが、スタッフにはいつも笑顔で接して下さる、とても穏やかな方でした。

時が経つにつれ、食事量が減り、徐々に元気がなくなっていくのが目に見えて分かる状況でした。「何が食べたい?」と聞いても「思いつかないな。」と寂しそうに笑うだけ。

まず、医師と今後の対応についてインフォームドコンセントを行ない、D様もご家族様も、胃瘻や点滴を含め、延命は望まない。自然にここで過ごしたい。とのご希望をお受けしました。

それから、何度もD様とお話ししました。元々過度な接触を好まれないため、1回のお時間は短めにと決め、その会話の中から食べられそうなもの、好きなこと、今までなかった情報がどこかにないか、どのスタッフも探っていました。なかなか何を食べてもらえばいいのか、どうしたらいいのか、見つからない時間が過ぎて行った頃、「とりあえず、なんでもいいから試してみたらどうだろう?」という意見が出ました。

ご家族様とも、施設提供の食事をストップし、その分スーパーなどで代行で買い物をさせて欲しいとご相談をさせて頂き、快くご了承いただきました。

そこから、いろんなスタッフが、これなら食べられるかな?おいしそうに見えるかな?とD様のことを一生懸命考えながら買い物を始め、食欲が回復されました。

そんな時間を1年弱過ごされましたが、だんだんと召し上がれるもの、食欲が低下し、ターミナルケアへと移行され、ご家族様が付き添われる中、苦しまれることなく最期を迎えられました。

ご家族様からは、「同じ家族のようにDのことを心配して対応してくれて、ここで最期を迎えられて本当によかったです。」とのお言葉を頂きました。